お仏壇

母が入院し、退院と同時に
こちらに転居となったのが2月初め。


住む人がいなくなった実家は、
好立地だったらしく、1か月ちょっとで売れた。
手続きは煩雑だったし、
内部の整理、解体など、相続より大変だった。
しかし仲介してくれた不動産屋さんに助けられた。
担当の方も、買主様もとても誠実で、
親切な方々だった。


7月の墓参りの時に、
更地になった土地を見て、哀愁を感じた。

売ったお金から多額な税金をひかれて、
残ったお金は正味の遺産であった。

もちろん、母のために使って、
残りもほとんどを母のこれからに当てた。


母が退院した日に、こちらに連れてきたし、
その後も実家に行けた時間は限られたので、
仏壇はそのまま。
位牌と阿弥陀様と、仏具、遺影などを持ってくるのが
精いっぱいだった。

母がこちらに来てからは、
仏さまが寂しがるから、とのことで、
リビングの一番の場所の戸棚の上に
位牌と阿弥陀様、仏具を設置していた。

そういうお家は、今では、珍しくなさそうだ。
というのは、訪問診療をしているお宅のかなりの割合で、
「仏壇」がなかったり、あっても扉を閉めて、
別の場所に位牌があったり、
さらにはお骨まであったり。

特に、身寄りのない独居の高齢者宅では、
日常的に目にする。
いずれ我が家もそうなる。

無信仰(といいつつお詣りはするのだが)の私は、
仏壇なんて、お金の無駄、とまで思っていた。
しかし、不幸、不運の連続が、
私だけでなく妻にも訪れ、
神仏、祖先を敬う気持ちの大切さを再認識し
やはり仏壇を買うことにした。

リビングに合う仏壇を取り揃えているお店、
価格も安いお店を調べ、
行った先は、「こころあ堂川崎店」。

「激安仏壇」といっても、
もともと安いものではないのが、仏壇だろう。
事実、実家にあった、結構安づくりの仏壇も、
かなりの金額(もちろん10万円以上)したものだ。

お値段はできるだけ安く、
しかし何となく良い感じのものを探す。
実際は最安値のものが気に入ったので、
ラッキーであった。

値段ではなく、気に入った風情で仏壇を買うと、
今度は仏具も気に入ったものにしたい。

いろいろと吟味して、
掛け軸だった阿弥陀様も木彫りの阿弥陀様にして、
結構なお値段になって買った。
もちろん、遺産から。

そして、昨日我が家に初めて仏壇が設置された。
LED照明をつけておくと、結構目立つ。
阿弥陀様のお顔も良い(お顔で選んだ)。
仏具のワインレッドがしっくりくる。

最初は鬱陶しいかな?と気になったが、
慣れると何だかとても落ち着くのだ。

妻が、「仏壇を買う」と言い始めて、
そんな非科学的なことに金を使うのはどうか?
と反対してきたが、
今では良かったと思っている。

ちなみに、寝室には、お札:
伊勢神宮と寒川神社:が長押(なげし)に
設置されている。

信仰という点では、純粋ではない。

しかし、このような信仰というものは、
ヒトの外に神仏やあの世があるのではなく、
ヒトの心の中にあるものだと思う。

心の安定のためには、ヒトには必要なのだな、
そう感じた。


尚、遺影は、施設の母の部屋にある。
一時期、父をとても恋しがった母であるが、
記憶は父と過ごした日々より過去まで
さかのぼって失われたらしく、
父への恋慕は消失している。
遺影は、母の部屋のテレビの裏にある。

「鬱陶しいから」というのが理由である。

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