中年パワーリフター日記

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<<   作成日時 : 2017/07/10 16:30   >>

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6/30に食べたステーキで食中毒になった。
いつもと違って、水っぽいし、まずかった。
止めれば良かった。
卑しい私がいけないのだ。

まあ、この時期、お腹をこわす患者様は多い。
たったの3日間の診療で、
4例/38例だから、1割以上である。
症状は、嘔吐、下痢、でも発熱は少ない。
食中毒というより、「食あたり」。

ところが最重症になったのが自分自身。
「先生でも病気になるんですか?」って言われても、
医師だって人間ですもん。

食べた後、20時間(7/1)で下痢。
でも私は、いつも下痢だから、
いつもの下痢とは違うぞ?と思った時には、
発熱していた。
吐き気も嘔吐もない。

医師は自分を診療することはできない。
まして、一診体制で、終わればみんな帰るという
土曜日の午前勤務だから、
自分の診療など物理的に不可能。
目の前の患者様より、自分の方がどんどん
悪くなるし、熱も38℃を超えても、
完遂するしかない。
患者様にうつさない、ということだけが救いである。

それでも何とか自宅に着いた。
へろへろである。
スポーツドリンクをかなり飲んだが、
臥位での末梢静脈圧はマイナスだ。

これえはやばい!!
以前もらった、期限切れの点滴は生食500ml。
1年ぐらい期限切れだって、大丈夫だろう。
点滴静注も可能だが(自分で留置針は入れられる)、
この際、皮下点滴というものを体験してみよう。
お腹には脂肪がたっぷりあるし。
点滴したら、脂肪細胞もぶっ壊れてくれないかな?
エンダモロジーの宣伝みたいに。

妻に手伝ってもらって、刺すのは簡単。
インスリン自己注と同様の合法性。
でも小児用点滴セットで秒1滴で入れたら、
痛い痛い。
10分以上経ってようやく慣れて、秒2滴まで増量。
500ml入れるのに、結局5時間以上かかった。
1cmぐらいの皮下脂肪が、3cmぐらいに膨れた。
皮下に点滴バックがそのまま入った感じ。

点滴静注とは違って、いくら入れても
楽にはならない。
結局2日後まで皮下に残っていた。

私が医師になる直前までは、
小児の点滴静注は困難を極めたらしい。
浅側頭静脈へ刺す、「頭皮針」とかいうものもあった。
今のトンボ針とは違い、オールメタル。

大量補液となると、腹部や大腿部の皮下点滴だった。
ベニューラRが出て、時代は変わったが、
なかなか入らず、破棄する針が山になって、
私の小児科のオーベンは、
「百刺し音頭を踊る」とか言っていた。

食べられない→点滴→ラインが取れない→
皮下点滴、という医療を、
在宅ではよく見るが、
どう考えてもご本人にとっては、極悪非道の治療である。

高熱と腹痛(腸と、皮下)の悪夢の中、
少量の経口摂取と週2回の皮下点滴で、
1年半も生きたSさんを思い出した。

Sさんの皮下点滴は、
前担当医が逃げの一手で始めて、
その後ご家族も止めようにも止められなくなり、続いた。
Sさんは、点滴をされるたび、
「人殺し!!」と叫んで、苦痛を訴えていたが、
まさにその気持ちがわかる。
ただ、論理的には矛盾する(延命のための点滴だから)。

本人の意に反して、延命を、
まして有効性が低い延命を図るのは、
ご家族と医療従事者のエゴであり、
安楽死の正反対の虐待死であろう。
安楽死が合法的でないのに、
虐待死は日常茶飯事に行われているのは、
決して法整備の問題ではなく、
法が、人の心を無視して一人歩きしているためだろう。
その人の人生は、その人のもの、ということがわからない、
「ただ青い空の青さを知る」ことができない
そういう人々が作った矛盾であろう。

私は、「食べられない」「食べたくない」
そしてご本人が「延命して欲しくない」時は、
ご家族にきっちり説明して、
一切の点滴はしない。
マスコミなどが好きな「安楽死」ではない。
死を受け入れて、生きるつらさがなくなって、
最期を生きる、そういう手段が
ただ単に点滴をすべきでない、となるだけで、
緩和ケア学会ガイドラインにも沿っている。
医学的にも、保険医療的にも正しいし、
ご本人もご家族も最期を良く生きることができるから。

その最期こそ、死という悲しみと引き替えに得られる、
最高の安らぎの期間であるから。

ただ、そういう最期を迎えるには、
ご家族や、患者様自身を磨き上げなくてはいけない。
それは主治医の責任で、とても大変な仕事なので、
根性なしの医師は逃げるのは当たり前。


閑話休題。

サルモネラを考えた。
サルモネラには原則抗菌剤は使わない。
治癒までの期間を短縮させないし、
排菌を長引かせるし、
まれに慢性感染(胆道系など)もあるし。

だから重症例に限り抗菌剤を使う。

しかし、土曜日の夜、休日夜間急病診療所に行っても、
整腸剤を出されて終わり、
点滴すらしてくれないだろう。
実際、区の休日診療を担当していた経験から
予測可能な帰結である(注)。

注:
 点滴するなら二次病院に送るのだが、
 下痢と発熱、脱水程度で、点滴してくれるかどうかは
 二次病院によって異なる。
 点滴もしてくれなかったら、行き損、待ち損である。

これ以上重症となれば、意識障害を来した時。
そうしたら、救急搬送となるが、
医師のくせに、回避可能なのに、
救急車に乗るなど不名誉きわまりない。

ということで、クラビットを飲んだ。

翌日には、前日の皮下点滴と経口補液で脱水は改善した。
お粥も食べられた。
クラビットが効いたか???
でも39℃近い弛張熱と腹痛は続いた。
しかし信じたい、クラビットがもう効いてくるはず、
と安静臥床で過ごした。
火曜日に勤務は何とか根性で出られる、はず。

ところが、である。
火曜日(7/3)未明も38.7℃の発熱。
ロキソニンを飲んでもびくともしない。
腹痛も尋常ではない。

しょうがないので、何年ぶりかで病欠し、
公立病院の感染症科外来に受診した。
受診するまで、かなりすったもんだしたし、
9時に受付して、診察が11時。
ここで手術を受けた妻は、当然のようにして
待合室の椅子で眠っていたが(補)、
私としては、腹痛と悪寒と、
怨念(注)で必死の2時間であった。

補:
 長い読者様なら予測可能だろうが、
 眠りから覚めた妻の一言は、
 「全然眠れなかった」である。

注:
 必死でがんばっているスタッフなら、
 3時間待っても納得できる。
 暇そうに私語を交わしたり、
 飛んできた虫の対応に何十分も費やす
 そんなスタッフを見ていると、
 待ち時間のほとんどは「遅延行為」ではないか、
 そう思えるのである。
 さすがは、公立病院である。
 高い市民税を払っている、
 つまりおまえらの給料の一部を払っている、
 納税者の気持ちなどお構いなしである。

担当医からは、「カンピロバクターでしょう」と言われた。
どおりでクラビットは効かないはず。
でもカンピロって鶏肉だけだと思っていた。
点滴をしつつ採血と便検査の結果を待つ。

白血球は13,580!左方移動は大したことはないが
(Stabは出ているが、Metはなし)、
4日経ってのこの値は、担当医も驚き、
腹部CTまでやって、膿瘍を否定。

それにしても今のCTはよくわかる。
回盲部の腸管壁肥厚がはっきり。

私が研修医の時は、CTと言えば、
CT専門医療機関か、三次医療機関にしかなく、
しかも頭部だけだったから、
今の128列のCTとか見ると、
「写真を撮られると魂を抜かれる」というのと
同じ感覚がある。

結局ジスロマックを処方され、帰宅。

「病院受診は半日がかり」と患者様は言うが、
本当にそうであった(到着から出発まで5時間かかった)。
本当に具合が悪ければ、
受診でさらに悪化するのは当然。
お金が時間に変わっただけで、
江戸時代と変わらないのが現代医療である。

ただ、担当医は、今時の医師には珍しく(注)、
論理的な説明ができるし、親切であって、
とても良い医師であった。

注:
 腹痛と言えば、ろくな問診も診察もせず(できず?)
 採血、採尿、挙げ句の果てにはCTまで撮って、
 若い女性の便秘が診断できない、
 それが今の平均的な医師だと思う。
 英国の医師に、「日本では、CTでわかる癌より、
 CTで作る癌の方が多い」と言われるのは
 もっともな話である。

手持ちのクラリスも飲んで、
翌未明(5日)に37.5℃まで上がって腹痛はあったが、
出勤した。
もちろん、二次感染の危険はほとんどなかったから。

完全に解熱したのは金曜日(7/7)。
腹痛もほぼ同時に消失。

体重は何と!82kg→79kgと3kgも減った。
脂肪が減ってくれるならいいけれど、
CTの画像を見ると、
脂肪に腸が浮いていることもよくわかり、
-3kgは主として骨と筋肉であることは明らかだった。

これほどの食中毒は生まれて初めて。
馬刺しであたった時よりも、
タヒチ(ボラボラ)で死にかかった時よりも、
そしてノロウイルスよりも、
ずっと重症でつらかった。

カンピロバクターって、
・解熱剤が全く効かない。
・とんでもない頭痛がある。
・眼の奥が痛い。
などの特徴があることを身をもって知った。

また、弛張熱の間、毎日悪夢を見ていたが、
ほぼ100%登場のアシスタントWがいた。
普段の勤務で、こいつ、Wにどれだけ
悩まされているか、よくわかった。

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